カリキュラムの概要
病態生理学分野では、歯学部1年次学生を対象に必修科目である生理学、歯学部2年次学生を対象に生理学と生理学実習、歯学部3年次学生を対象に基礎科学演習、歯学部4年次学生を対象にSmAdの講義を担当しております。また、これまでに会得した知識の再確認を行うために本学では、3年次学生に開講しておりますコア歯学演習基礎、5−6年次学生に開講しております総合講義Ⅰ・Ⅱにおいても、生理学に該当する範囲の講義を担当しております。
生理学とは、生物が生きていく仕組みを「機能」の観点から理解していく学問のことを呼んでいます。生物が生きていく仕組みには、組織や器官または細胞であったりする様々な要素が含まれており、それらがそれぞれどのような活動を行っているのかを解明している学問です。科目名では「生理学」と一括りになっているが、対象としている範囲は非常に広く、神経細胞の興奮発生に始まり伝導、筋細胞の収縮と力の発生、腺細胞の分泌、心臓の収縮と弛緩、四肢の伸展と屈曲、歩行・咀嚼・呼吸など、細胞レベルから個体レベルに至るまで多彩であり、それらを細胞生理学・一般生理学・システム生理学・行動生理学・口腔生理学として分類しています。病態生理学分野で担当しているのは、細胞生理学・一般生理学・システム生理学・口腔生理学となります。岩手医科大学でのカリキュラム構成としては、1年次には細胞生理学を中心に構成し、2年次には一般生理学・システム生理学を行い、最後に口腔生理学を組み込んでおります。
理念と目的
岩手医科大学の目的は、学則第1章第1条にある医学教育・歯学教育・薬学教育及び看護学教育を通じて誠の人間を育成することにあります。すなわち、まず人としての教養を高め、充分な知識と技術を修得させ、
更に進んでは専門の学理を究め実地の修練を積み、出でては力を厚生済民に尽くし、入っては真摯な学者として、斯道の進歩発展に貢献させること、これが本学・岩手医科大学の使命です。
歯学部では、本学の建学の精神「医療人たる前に、誠の人間たれ」を深く理解したうえで、歯科医師として必要な知識・技能・態度を修得し、チーム医療や地域社会において活躍できる歯科医師として9つの各資質を身につけ、かつ所定の課程を修めた者に対して学士(歯学)の学位を授与しております。歯学部学位授与方針:通称ディプロマ・ポリシーの中で、生理学で教える内容に該当するディプロマ・ポリシーは、
教育の方法
生理学は、医学部や歯学部だけでなく、薬学部、看護学部、保健医療学部、作業理学療法学さらには栄養学科などでも講義がある科目です。多くの学生が受講する生理学ですが、得意である学生と不得意である学生がはっきりしやすい科目であるとされています。これは、試験前の暗記に特化した勉強法では、具体的な生体の機能のイメージが持てず、漠然とした状態で理解しているためであると考えてます。そこで、病態生理学分野では、視覚素材を多用しながらの教育スタイルの充実を図っています。視覚素材には、画像だけでなく動画を活用することで興味や関心を持たせ、授業に臨めるように働きかけています。
現在、様々な動画素材が発売されております。しかし、高額なこともあり、個々の学生さんに準備させるわけにはいきません。そこで、病態生理学分野では、動画・アニメーション作成ソフトウェアを活用し、自作の講義用動画を作成し、授業中に視聴させるだけでなく、学生用LMS(ラーニング・マネジメント・システム)を活用し、自宅での復習や試験対策用として公開しております。
例えば、触圧感覚を説明する際に用いてる動画をご紹介します。受容器が変形することでイオンチャネルが開口して受容器電位が生じるという流れですが、言葉と静止画だけではなかなか学生さんの理解を得るのが困難でした。実際のメカニズムとは異なる部分もありますが、画像に時間軸をつけることで理解がしやすいように感じております。
講義で配付するレジュメも工夫を行っております。単に講義で用いるPowerPointのファイルを提供するのではなく、オリジナルの講義ノートを作成し配付並びに学生用LMSにて公開しております。学生さんには、授業中に重要な部分の記載を促すことに加え、時間軸のついた現象を自分でノートに絵として書かせるなど工夫を行っています。
Active Learningの一環として、授業で習った知識の再確認を行うことを目的に、学生用LMSを介した回答添削を行っています。講義後に、重要な事項に関する問題を提示し、一定の期間を設け自由に提出させます。この場合、提出を義務づけてはおりません。配付した資料の中に答えはありますが、そのまま丸写しを出来ないような問題構成として、学生さん自身が思考し回答文を自分で作成できるように工夫をしております。
得意である学生と不得意である学生がはっきりしやすい科目である生理学を、得意科目にして貰うために、様々な取り組みを行っております。年毎にティーチングポートフォリオを作成・更新し、自己省察を行いながら取り組んでいきます。