生理学講座 病態生理学分野

  • HOME
  • (公財)JKA研究助成
(公財)JKA研究助成

病態生理学分野では、小児歯科学・障害者歯科学分野との共同研究を、公益財団法人JKAの補助事業にて実施しております。

公益財団法人JKA WEBサイト https://www.jka-cycle.jp/

この事業は、競輪の補助を受けて実施しております。

社会的課題

 嚥下障害者にとって食品摂取は栄養補給と生活の質の向上に必要不可欠ですが、誤嚥リスクと表裏一体の関係となってます。リスク回避に用いられるとろみ剤は、機能にあった性状での提供が求められますが、その性状は定性的評価に依存し、病院で提供されていた性状を在宅に移行させる際に介護者を困惑させており、シームレスな介護の障壁となっています。安心して安定した“とろみ”を付した食提供を実現するために、簡単にとろみが明示可能な機器展開が期待されますが、現状ではラボレベルの大型機器しかなく、利用者の定性的評価に頼っている現状があります。

事業の目的

 介護者が安心して安全なとろみ付けをした食品を提供出来るよう、各家庭に導入出来る安価且つコンパクトな粘度計の開発を目指します。家庭で使うことを想定し、各種嚥下調整食に対応することを視野に非ニュートン流体での高い精度での検出を目指した事業計画です。

2022年度 研究内容

2022年度 機械振興補助事業 に採択されました

2022年度 機械振興補助事業 研究補助 個別研究に採択されました。
「安心・安全な食提供を実現する在宅で使用できる小型粘度計開発」
代表研究者:黒瀬 雅之 共同研究者:森川和政, 齊藤桂子, 熊谷美保, 小林琢也, 成田欣弥

本研究計画のアピールポイント

地域包括ケアの推進に伴い、嚥下障害者ケアの主体は在宅に移行され、多職種による支援の介入を軸とした在宅医療の充実化が喫緊の社会的課題とされています。病院から在宅への円滑な治療を継続するには、障害を有する患者様を取り巻く情報の共有が必要不可欠です。その中で、在宅での介護で頻繁に用いられる嚥下調整食の“とろみ”は定性的評価に依存しており円滑な対応の継続という視点での障壁となっています。そこで、攪拌棒に加わる力をセンサで検出し、「とろみ」度への変換を可能とした今までにない在宅で使える小型粘度計開発を目指しています。

本研究計画の進捗

進捗状況は随時Updateさせて頂きます。

2021年度 研究内容

2021年度 機械振興補助事業 に採択されました

2022年度 機械振興補助事業 研究補助 若手研究に採択されました。
「嚥下障害者への安全な食提供に繋げる“トロミ度”検出機器開発」
代表研究者:齊藤 桂子 共同研究者:黒瀬雅之, 森川和政, 熊谷美保,

研究の目的と背景

嚥下障害がある方がおられるご家庭では、水分を取るという生きるために必ず必要不可欠な行為が、誤嚥を起こす可能性が高いこともあり、気を遣われていると思います。トロミ剤を使われることも多いかと思いますが、メーカーの違いで作り方が全く異なり困惑させていることも多いかと思います。そこで、安心して安定した“とろみ”がついた食事を提供できるように、ご家庭で簡単に“とろみ”度が分かる機器を提供しようと思っております。そのために、各家庭で導入して頂ける安価で、そして何よりコンパクトで使いやすい粘度計を開発することを目的として研究です。

小型粘度計開発に関する研究

食物のトロミは粘度とほぼ同じ物性です。粘度とは、食品などの流体を動かそうとした際の動かしにくさを数値化した単位です。この粘度という数値を計測するのに用いるのが粘度計となります。現在、粘度計には様々な種類が存在し、それぞれは用途によって使い分けがされています。大きく分けると、〆抓票闇甘抃廖´⇒邉綣闇甘抃廖´2鹽昭闇甘抃廚裡骸鑪爐あります。
〆抓票闇甘抃廚箸蓮言葉通りの細い管に測定した試料を通して、その管の中を流体が流れる時間と管の両端の圧力差から粘度を計測しています。細い管の中を流体が流れてくれないといけませんので、あまり粘度の高い食品などの計測には向いていません。
⇒邉綣闇甘抃廚箸蓮⇔れがない状態で測定した試料の中に球を落下させます。この時の落下するまでの時間を計測して粘度を測定します。細管式粘度計とは違い、比較的粘度の高い食品の粘度計測を得意としています。
2鹽昭闇甘抃廚箸蓮回転体が流体から受ける抵抗を回転トルクから読み取って粘度計測を行っています。回転体の形により、共軸二重円筒型や単一円筒型回転式粘度計(いわゆるB型)、コーンプレート型(いわゆるE型)等があります。今、一般的に広く普及している粘度計はこの形状です。回転体を回転させる回転数を可変することで、様々な試料を対象とした粘度計測を実現しています。この回転式粘度計で、回転数を自在に制御することで詳細な粘度解析を実現しているのが、レオメータとなります。
回転式粘度計(B型やE型)、そしてレオメータは、非常に精度よく粘度を計測出来ますが、どうしても高価な機器となります。なかなか、家庭に導入することに対してのハードルは高いです。様々なアプローチで、回転式粘度計の小型化は進められてきました。その結果、小型化・軽量化は進んでおりますが、まだまだ簡単に導入出来る価格帯にはなっておりません。

そこで、従来までの粘度検出方法とは異なる手法での計測方法の確立を目指して原理試作を開始しました。上の図は、その試作品のデザインを示します。全長は150mm、直径は30-40mmの筒の中に、攪拌棒を回転させるモータを埋め込んだ形状としています。原理試作ですので、測定結果は、ケーブルを介してパーソナルコンピュータにUSB接続で入力させ、専用のソフトウェアで結果をみられるようにしました。

実際の粘度計の検出精度は、試作器と共同研究者の研究室にあるレオメータ(MCR 702e MultiDrive,Anton Paar: https:// www.anton-paar.com/ jp-jp/ products/ details/ rheometer-mcr-702-multidrive/)の両者を用いて比較することにしました。Anton Paar社のレオメータは、世界最高峰クラスの精度を誇るレオメータです。このレオメータで検出された値にどのくらいまで近づけることが出来るのか?が本研究開発における目標達成に指標です。

測定対象とした試料は、水・牛乳・グリセリン・各種市販されているトロミ剤を溶解させた溶液です。対象とした溶液である水・牛乳・グリセリンは、ニュートン流体と呼ばれ、与える力によって粘度の変わらない流体です。他に蜂蜜なども該当します。これに対して、蒸留水を溶媒としてトロミ剤を溶解させた溶液は、非ニュートン流体と呼ばれます。与える力の掛け方によって粘度が変化する流体のことで、バターやマーガリンなど、日常私達が口にする食品のほとんどは非ニュートン流体です。よって、非ニュートン流体の粘度を安定して計測出来ることが粘度計に求められる条件です。

結果に関しては、現在特許申請中ですので、詳細に記載すること出来ません。公開出来る時が来ましたら、随時更新させて頂きます。